性感染症(STD)

性感染症(STD)について

STDとは性行為感染症のことです。性交の際に、病原菌やウイルスが、血液や体液を介して伝染していきます。性行為感染症としられている疾患には様々のものがあり、また症状がでやすい明らかなものから、特に症状がでないものもあります。症状の主なものは外陰部のかゆみや痛み、そしておりもの増加や臭いです。性行為感染症は気付かずに放置すると、性行為により感染を広げてしまいますし、また中には治療が遅れることで不妊の原因になってしまうものもありますので、感染の可能性がある場合には早めの受診を心がけましょう。

STDドックについて

STDドックではひととおりすべてのSTDをチェックすることができます。検査項目はクラミジア、淋菌、トリコモナス、カンジダ、さらに梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIVとなっています。コンジローマやヘルペス、毛じらみも診断します。検査は内診台での診察と、おりものを採取する検査、採血による血液検査を組み合わせて行います。
外陰部にかゆみや痛みの症状がある方、あるいはおりものの臭いや色、状態が気になると言った方にはおすすめのドックです。また、症状がない方でも性感染症の可能性があるかもという方は、ぜひ一度検査しておくことをおすすめします。

STDドックの検査内容

1. おりものの検査

膣内のおりものをぬぐって検査をします

a) クラミジア感染症

病原体はクラミジアトラコマティスで、性行為における粘膜同士の接触で感染します。STDの中では最も多くみられる感染症で、STDの半分以上はクラミジアです。潜伏期間は1~3週間です。症状としては、男性では排尿時痛や尿道掻痒感などで、女性ではおりもの増加や性状の変化ですが、症状が軽く、無症状のことも少なくありません。感染から時間が経つと下腹痛の原因になることがあり、下腹痛で産婦人科を受診してクラミジア感染が発覚する場合もよくあります。診断はおりものの中から抗原を検出することで行います。結果は1週間ほどでわかります。治療には抗菌薬を使います。放置すると不妊や流産の原因になることがありますので注意が必要です。

b) 淋病

病原体は淋菌で、性行為による粘膜接触で感染します。潜伏期間は2~7日です。症状としては、女性ではおりものや不正出血が見られるか、あるいは症状が軽く、気づかれないこともあります。
診断はやはりおりものから抗原を検出することで行います。症状はクラミジアと類似しており、クラミジアとの同時感染も珍しくないため、両者を同時に調べることをおすすめします。
治療には抗菌薬を使いますが、各種の抗菌薬に対して耐性率が高くなっています。放置すると不妊の原因になることがあるほか、感染した母体から出産した新生児が淋菌性結膜炎になることがあります。

c) トリコモナス

トリコモナス原虫の感染による感染症です。潜伏期間は10日ほどです。感染経路は主なものは性交ですが、浴槽やタオルなどからでも感染するため性行為経験のない女児でも感染していることがあります。症状はおりものの悪臭や、泡沫状の濃いおりもの、外陰部のかゆみなどです。症状があまりでないことも多いです。
おりものの培養検査をすることで診断されますが、顕微鏡で観察できることもあります。
原虫用の内服薬や腟座薬で治療します。

d) カンジダ

真菌(カビ)の一種であるカンジダ菌の感染によっておきる感染症です。カンジダはSTDではなく、腸管内や腟内に普通に存在している菌です。通常は膣内の善玉菌である乳酸菌によって過剰な増殖はおさえこまれています。しかしなんらかの原因で乳酸菌が減少してしまうと、その隙にカンジダが増殖してしまいます。乳酸菌減少の原因は外陰部の過剰な洗浄や、抗生剤の内服、ホルモンバランスの乱れなどですが、性交後にも膣内の環境が変化するため性交も原因のひとつにはなりえます。
症状は白くぽろぽろした特徴的なおりものと強いかゆみです。視診や顕微鏡の検査でその場で診断がつくことも多いですが、はっきりしない場合はおりものの培養検査で診断します。
治療は自然に乳酸菌がふえるように、洗浄しすぎずに様子をみても良いのですが、かゆみが強いため、抗真菌腟座薬やクリームを使用して早めに治すこともおすすめです。

2. 血液検査

採血によって感染症の有無を検査します。

a) 梅毒

病原体は梅毒トレポネーマで、性行為により感染します。潜伏期間は約3週間です。症状としては、感染部位(性器、口など)に赤色の硬いしこりやただれができ、近くのリンパ節が腫れます(第1期)。その後3~12週間くらいの間に、発熱、全身倦怠感などの全身症状とともに、皮膚に様々なタイプの発疹が現れ(第2期)、さらに10~30年の間に心臓や血管、脳が冒されます(第3、4期)。現代では病状がすすんでから見つかることは少ないです。感染数は多くはないですが、ここ最近増加傾向です。
診断は主に血液による抗体検査で行います。
治療には抗菌薬を使い、やや長めに内服します。妊娠中に母体が未治療の梅毒に罹患していると、出生児が先天梅毒になることがあるので注意が必要です(通常、妊娠初期に全例検査しますので過剰に心配する必要はありません)。

b) B型肝炎

B型肝炎ウイルスの感染を調べる検査です。ウイルス保持者のみが感染源になりえます。感染経路は分娩時(母子感染)と性交などです。
分娩時の母子感染ではウイルス保持者(キャリアー)となることがありますが、性交での感染ではキャリアー化は少なく、一時的な肝炎を発症することが多い疾患です。
キャリアーでも日常生活に支障はありませんが、性交や血液などから他人に感染させないよう、注意が必要です。
分娩時の母子感染を防ぐため、妊娠初期には全例に検査がおこなわれます。

c) C型肝炎

C型肝炎ウイルスの感染の有無を調べる検査です。性交でも感染することはありますが、ほとんどは血液(輸血など)を介しての感染です。C型肝炎はB型肝炎と違って、慢性化することが多く、将来慢性肝炎を発症し、肝硬変から肝臓がんへと移行する可能性があります。感染者は規則正しい生活を心がけるとともに、定期的な医学的管理を行うことが大切です。

d) HIV

HIV(エイズウイルス)への感染の有無を調べる検査です。主に性行為によって感染する疾患です。HIV感染からエイズを発症すると致死率が高く、おそれらていましたが、現在ではHIVに感染しても薬を飲み続けることでエイズの発症はかなり抑えられるようになっていますので、早期に発見することが重要な疾患といえます。

3. 視診・内診

内診台で診察することで診断します。

a) コンジローマ

病原体はヒトパピローマウイルス(子宮頚がんの原因ウイルスと同じ種類ですが型がちがいます)で、性行為による皮膚・粘膜病変部との接触で感染します。潜伏期間は3週間~8ヶ月です。症状としては、性器・肛門周囲などに鶏冠様の特徴的な腫瘤ができますので、視診で診断がつくことが多いです。ただし、腟に入口部にはまぎらわしい突起物があることも多いため、あやしい病変がある場合には確定診断のために病理組織検査(病変部の生検)で行います。
放置すると腫瘤がどんどん増殖するため、治療をしますが、現在原因ウイルスに対する特効薬は開発されていないため、病変部の切除や、塗り薬による治療を行います。ウイルスは潜伏しているため、再発が多い疾患です。ただし、いずれは自己の免疫によりウイルスは排除されることが多いようです。

b) 性器ヘルペス

病原体はヘルペスウイルスで、性行為による皮膚・粘膜病変部との接触で感染します。潜伏期間は2~10日です。症状としては、外陰部に水泡・びらんを生じ、強い痛みを伴うのが特徴です。性器の痒み、不快感として感じる方もいます。初発のヘルペスでは痛みがとても強く、歩行困難になるひともいるくらいです。診断は基本的に問診および視診により行いますが、補助的に病変部からのウイルス分離、抗原検出を行うこともあります。
治療には抗ウイルス薬の内服薬や塗り薬を用います。

c) 毛じらみ

病原体はケジラミです。性交のほか、衣類・寝具などを介しての間接的感染もあります。潜伏期は不定ですが、1~2ヶ月が多いようです。症状としては外陰部の強い痒みです。
診断は直接、陰毛の虫体や卵を確認することで行います。
毛じらみですので剃毛すれば治ります。あるいはスミスリン(パウダーやシャンプー)という薬剤でも治療できます。

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