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性感染症(STD)

性感染症(STD)について

STDとは性行為感染症(性病)のことです。性行為によって感染する病気の総称ですが、性器同士の接触だけでなく、口腔や肛門、皮膚の接触によっても感染することがあります。

比較的多い性病としてはクラミジアや淋菌、性器ヘルペス、コンジローマがあげられますが、その他にもトリコモナス、梅毒、HIV、毛じらみといった疾患もあります。
性病の症状としては、主なものは外陰部のかゆみや痛み、そしておりもの増加や臭いです。ただし症状がほとんどないものも多く、気付かずに放置すると、性行為により感染を広げてしまいますし、また中には治療が遅れることで不妊の原因になってしまうものもありますので、症状があればもちろんですが、症状がなくても定期的にチェックしておいてもいいかもしれません。

STDドックについて

STDドックではおりものの検査と血液検査でSTDをチェックします。検査項目はおりもの検査ではクラミジア、淋菌、トリコモナス(性病ではありませんがカンジダやウレアプラズマ、マイコプラズマも検出されます)、採血検査では梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎となっています。ヘルペスやコンジローマ、毛じらみは検査で調べることはできません(受診時に発症している場合に診断可能です)。
症状はないけれど性感染症が心配という方は、ぜひ一度検査しておくことをおすすめします。

※おりものの症状があって、性病が心配という方はおりものの検査は保険診療となります(自費検査と内容は同じ)。採血検査(梅毒・HIV・B肝・C肝)は保険診療では検査できません。詳しくは受診時に相談してください。

STDドックの検査内容

1. おりものの検査

膣内のおりものをぬぐって検査をします

a) クラミジア

クラミジアは、STDの中では最も多くみられる感染症で、STDの半分以上はクラミジアです。感染者から1回の性交で感染する確率は30-50%と高く、潜伏期間は1~3週間です。女性の症状としては、おりもの増加や性状の変化ですが、症状が軽く、無症状のことも少なくありません。無治療のまま感染から時間が経つと下腹痛の原因になることがあり、下腹痛で産婦人科を受診してクラミジア感染が発覚する場合もよくあります。診断はおりものの中から抗原を検出することで行います。結果は1週間ほどでわかります。治療には抗菌薬を使います。放置すると不妊や流産の原因になることがありますので注意が必要です。

b) 淋病

病原体は淋菌で、性行為による粘膜接触で感染します。クラミジア同様1回の性交による感染率は高く30-50%あり、潜伏期間は2~7日です。症状としては、やはりおりものの変化や不正出血となりますが、クラミジアよりは症状がでやすいものの症状が軽く、気づかれないこともよくあります。診断はおりものから抗原を検出することで行います。
治療には抗菌薬を使いますが、各種の抗菌薬に対して耐性率が高く、基本的には点滴による治療を行います。放置すると不妊の原因になることがあるほか、感染した母体から出産した新生児が淋菌性結膜炎になることがあります。

c) トリコモナス

トリコモナス原虫の感染による感染症です。潜伏期間は10日ほどです。感染経路は主なものは性交ですが、浴槽やタオルなどからでも感染するため性行為経験のない女児でも感染していることがあります。症状はおりものの悪臭や、泡沫状の濃いおりもの、外陰部のかゆみなどです。症状があまりでないことも多いです。
おりものの培養検査をすることで診断されますが、顕微鏡で観察できることもあります。
原虫用の内服薬や腟座薬で治療します。

※ カンジダ、ウレアプラズマ、マイコプラズマ

これらは性病ではありませんが症状がある場合に治療対象となる菌です

  • カンジダ

かゆみの原因として日常的にみられます。症状は白くぽろぽろした特徴的なおりものと強いかゆみです。視診や顕微鏡の検査でその場で診断がつくことも多いですが、はっきりしない場合はおりものの培養検査で診断します。性交をきっかけに増殖してかゆみを引き起こすことはありますが、STDではなく、腸管内や腟内に普通に存在している菌(常在菌)です。きっかけとしては性交よりも免疫の低下や洗浄のしすぎ、抗生剤の内服等によるもののほうが多いかもしれません。検査で検出されても症状(かゆみやおりもの)がなければ治療は不要ですが、かゆみの症状がある場合は、抗真菌腟座薬やクリームを使用して早めに治すこともおすすめです。洗浄しすぎると治癒は遅くなります。

  • ウレアプラズマ・マイコプラズマ

比較的最近指摘されるようになった菌です。腸管内の常在菌ですが、こちらもカンジダ同様に性交等をきっかけに増殖しおりものの臭いや色の原因となることがあります(カンジダよりも性交との関連は強い印象があります)。

検査で検出された場合は抗生剤で治療することが多いですが、症状(量や色、におい等)がなければ治療しなくても問題ないともいえます。

2. 血液検査

採血によって感染症の有無を検査します。

a) 梅毒

病原体は梅毒トレポネーマで、性行為により感染します。潜伏期間は約3週間です。症状としては、感染部位(性器、口など)に赤色の硬いしこりやただれができ、近くのリンパ節が腫れます(第1期)。その後3~12週間くらいの間に、発熱、全身倦怠感などの全身症状とともに、皮膚に様々なタイプの発疹が現れ(第2期)、さらに10~30年の間に心臓や血管、脳が冒されます(第3、4期)。現代では病状がすすんでから見つかることは少ないです。感染数は多くはないですが、ここ最近増加傾向とされています。
診断は主に血液による抗体検査で行います。
治療には抗菌薬を使い、やや長めに内服します。妊娠中に母体が未治療の梅毒に罹患していると、出生児が先天梅毒になることがあるので注意が必要です(通常、妊娠初期に全例検査しますので過剰に心配する必要はありません)。

b) B型肝炎

B型肝炎ウイルスの感染を調べる検査です。ウイルス保持者のみが感染源になりえます。感染経路は分娩時(母子感染)と性交などです。
分娩時の母子感染ではウイルス保持者(キャリアー)となることがありますが、性交での感染ではキャリアー化は少なく、一時的な肝炎を発症することが多い疾患です。
キャリアーでも日常生活に支障はありませんが、性交や血液などから他人に感染させないよう、注意が必要です。
分娩時の母子感染を防ぐため、妊娠初期には全例に検査がおこなわれます。

c) C型肝炎

C型肝炎ウイルスの感染の有無を調べる検査です。性交でも感染することはありますが、ほとんどは血液(輸血など)を介しての感染です。C型肝炎はB型肝炎と違って、慢性化することが多く、将来慢性肝炎を発症し、肝硬変から肝臓がんへと移行する可能性があります。感染者は規則正しい生活を心がけるとともに、定期的な医学的管理を行うことが大切です。

d) HIV

HIV(エイズウイルス)への感染の有無を調べる検査です。主に性行為によって感染する疾患です。HIV感染からエイズを発症すると致死率が高く、おそれらていましたが、現在ではHIVに感染しても薬を飲み続けることでエイズの発症はかなり抑えられるようになっていますので、早期に発見することが重要な疾患といえます。

症状出現時に診断できる性病

a) コンジローマ

病原体はヒトパピローマウイルス(子宮頚がんの原因ウイルスと同じ種類ですが型がちがいます)で、性行為による皮膚・粘膜病変部との接触で感染します。潜伏期間は3週間~8ヶ月です。症状としては、性器・肛門周囲などに鶏冠様の特徴的な腫瘤ができますので、視診で診断がつくことが多いです。ただし、腟に入口部にはまぎらわしい突起物があることも多いため、あやしい病変がある場合には確定診断のために病理組織検査(病変部の生検)で行います。
放置すると腫瘤がどんどん増殖するため、治療をしますが、現在原因ウイルスに対する特効薬は開発されていないため、病変部の切除(コンジローマ切除術)や、塗り薬による治療を行います。ウイルスは潜伏しているため、再発が多い疾患です。ただし、いずれは自己の免疫によりウイルスは排除されることが多いようです。

b) 性器ヘルペス

病原体はヘルペスウイルスで、性行為による皮膚・粘膜病変部との接触で感染します。潜伏期間は2~10日です。症状としては、外陰部に水泡・びらんを生じ、強い痛みを伴うのが特徴です。性器の痒み、不快感として感じる方もいます。初発のヘルペスでは痛みがとても強く、歩行困難になるひともいるくらいです。診断は基本的に問診および視診により行いますが、補助的に病変部からのウイルス分離、抗原検出を行うこともあります。 治療には抗ウイルス薬の内服薬や塗り薬を用います。一度感染すると、ヘルペスウイルスは体内にひそみ、免疫力の低下時再発して症状が再燃してしまいますが、初発時よりはかなり軽い症状となります(再発時の治療も基本的に抗ウイルス薬の内服となります)。

c) 毛じらみ

病原体はケジラミです。性交のほか、衣類・寝具などを介しての間接的感染もあります。潜伏期は不定ですが、1~2ヶ月が多いようです。症状としては外陰部の強い痒みです。
診断は直接、陰毛の虫体や卵を確認することで行います。
毛じらみですので剃毛すれば治ります。あるいはスミスリン(パウダーやシャンプー)という薬剤でも治療できます。

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